不器用な男たちの、切ないラブストーリー‥

不器用な男たちの、切ないラブストーリー‥_f0017012_15342715.jpg昨日見てきました。アン・リー監督の話題作「ブロークバック・マウンテン」
監督は以前インタビューで、ただ、ラブストーリーを撮りたかっただけだ。と、語っていましたが、その通りの作品でした。
監督自身、低予算のこんな作品で世界を狙えると思っていなかったとおっしゃってしましたが、予算では内容は図れないものです。
ヒース・レジャー(イニス)とジェイク・ギレンホール(ジャック)の二人の俳優の、ナイーブな演技がとても好印象でした。
それに、彼等の妻たちを演じるミシェル・ウィリアムズ(イニスの妻アルマ)とアン・ハサウェイ(ジャックの妻ラリーン)も、難しい役どころを見事にこなしています。




今回二人の女優さんは本当に見事だと思いました。
特にミッシェルは夫の不実を知って、嫉妬と怒りと愛情と激しく揺れ動く女性の表情をよく顕していると思います。
彼女は実生活でもヒースと結ばれ、昨年秋に女の子が生まれています。今回は二人してオスカーにノミネートされていました。

不器用な男たちの、切ないラブストーリー‥_f0017012_15535495.jpgヒース・レジャーは、あまり好きな俳優さんではなかったのですが、イニスははまり役と思います。
彼のくぐもった発音が寡黙で朴訥としたイニスの雰囲気かよく顕していると思います。
イニスは子供のころの体験がトラウマとなって、ジャックの真摯な愛情を受け入れられず苦悩します。その実、本当はイニスの方がジャックを求めていたのではないかとも思います。
彼は厳格な父に育てられ、その後苦労のすえに手にいれた、僅かな幸せを手放すことができません。現実の生活と自分にとっての理想との間でもがいている、不器用な男性を上手く演じていると思いました。

不器用な男たちの、切ないラブストーリー‥_f0017012_162848.jpgジェイクの演じるジャックは、イニスと対照的に自分の気持ちにも欲望にも前向きです。
彼なりの苦悩があったことは、後半になってわかってきますが、前半は、切ないほどまっすぐな彼の愛情と行動に振り回されるイニスといった構図ができています。
世渡りもそこそこ上手くて、幸せそうな家族を手に入れるジャックのイニスに対する思いは、一見すると自分勝手に写りますが、彼の両親の様子から、彼の内面の葛藤がわかってきます。
ジェイクファンだからという欲目を別にして、いい作品だったなぁと思いました。

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追記
原作者アニー・ブルー(70歳)女史、ブロークバック~がアカデミー賞を逃したことに不満を述べているという記事は こちら
今年のアカデミーは、いわくがありそうでしたものねぇ。
そういえば、サー・イアンがハリウッドは遅れていると言及したのは、その少し前でしたねぇ。
いろいろ事情はあるのでしょう。
ですが、腐っても鯛。それでもアカデミー賞候補とか受賞というキャッチは、映画を選ぶ時の大きな宣伝になるようですよ。
(あらら、アニー女史に氏表示してしまっていました。失礼しました。3月20日変更)

  by kiriko_b | 2006-03-19 16:25 | cinema

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